|
|
実演編「演じ方指導」執筆・・・右手和子
手作り紙芝居編1「紙芝居の物語指導」執筆・・・堀尾青史
手作り紙芝居編2「紙芝居の絵指導」執筆・・・久保雅勇
理論編1「紙芝居の魅力」執筆・・・片岡 輝
理論編2「紙芝居が育てるもの」執筆・・・阿部明子
理論編3「子どもの成長と物語」執筆・・・加藤繁美
理論編4「紙芝居の歴史」執筆・・・堀田 穣
「演じ方指導」執筆・・・右手和子(紙芝居の伝説的実演家。稀代の指導者)
*昭和40年代の人気アニメ『悟空の大冒険』(手塚治虫原作)で、悟空の声を出していたのが右手さん。
懐かしい~! 私ことヨネやんも、兄妹や近所の仲間とテレビにかじりついて観ていました。ちなみに銭湯に持って行くヨネやん専用の洗面器は、悟空だったんです。お湯につけると、色が変わる!という代物。もっとも、すぐに変わらなくなりましたが・・・。
*テレビアニメの世界から、紙芝居実演家の道へ進み、やがて“伝説的実演家”に。
ヨネやんも幸い拝見する機会がありましたが(晩年)、見事というほかありませんでした。動いていない絵が動いているように見える(目の錯覚とか、宗教ではありません)。その情景がありありと目に浮かんでくるんです。
*右手和子さんのもう一つのものすごく大事な側面は、「後進育成」とその指導法にある、とヨネやんは勝手に思っています。
右手さんが指導する講座を、わずか3回くらい拝見しただけで偉そうなことを言うのははばかられますが、心底その点に感心しました。
まず受講生に、思うように・自由に・思い切って、演じてもらいます。
それをしっかり見終わった後、右手さんはまずその方の良いところをうんと褒めます。
それから、少し修正したほうが良い点を1つもしくは2つくらい指摘し、実際に修正して演ってもらいます。
修正した後の紙芝居は、素人の私が観ても、その前のモノとは全く違うものに見えるんです。格段に良くなるんです。びっくりしました。
★型にはめるのは簡単。「この通りにやりなさい」と、型紙にそって切り取ってはめ込むような指導法が、スポーツや教育・子育てでもまかり通っています。
型にはめる指導者(親・教育者)は、まずその人本人を見ない。「見ない」のは、楽です。教える方は考える必要がない。教育でも、「校則」で縛り上げるのは簡単。少しでも拘束からはみ出したものを、罰し、除外していけばよい。
右手さんは、その人の実演を実によく見ている。また、紙芝居のことを深く知っている。だから、的確にアドバイスできるんです。
「今のやり方もいいんだけれどね、3場面の子ウサギちゃんがお母さんを待っている場面、この子の気持ちを考えるともう少し遠くに呼びかける感じで声を出したほうがいいんじゃないかしら?」
という感じで、アドバイスされていました。
「紙芝居の物語指導」執筆・・・堀尾青史(戦前から紙芝居を執筆している、第一人者)
*1914年、兵庫県高砂市で生まれる(くしくも、ヨネやんの出身地・姫路氏のお隣)。
*戦前、松尾芭蕉を描いた紙芝居『芭蕉』を出版したが、その後に続く2作は戦意高揚にそぐわない、と差し止められたようです。
*宮沢賢治研究の第一人者。戦前、飢饉に来る済む東北地方を旅した際、その前縁の亡くなった宮沢賢治を知り、、賢治の弟さんと知己を得る。その後何年もかかって賢治の作品、生涯を詳細に調べ上げ、1966年伝記『年譜宮澤賢治伝』刊行。その後、花巻市・「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」から宮沢賢治賞を授与された。
*主な紙芝居作品:
『やまからうみから』『こぐまのクリスマス』『クリスマスのこいぬ』『こねこちゃん』『どうぶつうんどうかい』『にじのエスカレーター』『だんぷ・だんくろう』『わすれんぼうのサンタさん』『みんなでげきあそび』
「紙芝居の絵指導」執筆・・・久保雅勇(紙芝居の絵を追求し続けた、第一人者)
*1925年生まれ。画家。元紙芝居文化推進協議会会長。
*主な作品: 『おしっこピッピッ!』『ベルがならない』『ねずみちょうじゃ』『さとるのたからさがし』『バナナれっしゃ』『かわいそうなぞう』『こぐまのクリスマス』『ケーキだほいほい』『どうぶつ山のクリスマス』『茂作じいさん』『故郷』『どこへいくのかな?』『わんわんちゃん』『まこちゃんごはんですよ』『よくばりわんくん』『あさがおアパート』『貝の火』『コロボックルはもういない』
理論編1「紙芝居の魅力」執筆・・・片岡 輝(詩人。東京家政大学名誉教授)
*語り手たちの会理事長。子どもの文化研究所所長。
*主な作詞作品:
『グリーングリーン』『とんでったバナナ』『未来少年コナン』(いま、地球が目覚める)(幸せの予感)
*『とんでったバナナ』・・・なんと、昭和37年発表らしい。子どもの頃歌いまくってた、大好きな歌です。
『未来少年コナン』・・・爆笑問題の太田さんが、「宮崎アニメと言えばこれ」と言っていた、人気アニメ。
これらの歌を書かれた片岡輝さんと、何度かお会いしてお話する機会を得ました。大切な時間でした。
理論編2「紙芝居が育てるもの」執筆・・・阿部明子(育児学者。東京家政大学名誉教授)
*子どもの文化学校校長。満州生まれ。
*シェイクスピア研究者の小田島雄志は、実弟。
*主な著書:
『子どもの観察と評価 その方法とポイント』『アイデアいっぱいお誕生会』
共著:『保育内容・言葉』『幼児の身体活動』『心をつなぐ紙芝居』『幼児教育課程・保育計画総論』『幼児教育指導法 保育における援助の方法』『保育内容言葉の探究』『教育・保育実習総論 実習の事前・事後指導』『健康 心身の健康に関する領域』『表現 感性と表現に関する領域』『保育における援助の方法』
理論編3「子どもの成長と物語」執筆・・・加藤繁美(山梨大学教育人間科学部教授)
*幼児教育学、保育構造論、保育制度論。
*2010年、日本保育学会保育学文献賞受賞。
*主な著書: 『0歳~6歳 心の育ちと対話する保育の本 (Gakken保育Books)』『記録を書く人 書けない人―楽しく書けて保育が変わるシナリオ型記録 (実践力アップシリーズ)』『保育者と子どものいい関係-保育実践の教育学』『子どもと歩けばおもしろい―対話と共感の幼児教育論』『対話的保育カリキュラム〈上・下〉理論と構造』
理論編4「紙芝居の歴史」執筆・・・堀田 穣(京都学園大学歴史民俗学専攻教授)
*〈専門〉都市文化史、図書館情報学。
*〈担当科目〉都市文化史、妖怪文化論B、司書課程科目。
*〈最終学歴・職歴〉神戸大学文学部哲学科哲学専攻から、国立民族学博物館情報管理施設資料室を経て、現職。
*主な著書・論文:
「成立史上における『紙芝居の作り方』の位置―紙芝居に関する最初の単行本、その意義と著者久能龍太郎のこと」単著、『比較日本文化研究』第11号。
「稀代の紙芝居指導者・右手和子さんの講習が、この本で受講できるんです!
どの方の実演にも参考になるよう、ポイントを3つに絞っていて、わかりやすい。
・・・「声」「間(ま)」「抜き方」
実際の紙芝居画像や、右手さんの実演メモ・紙芝居の裏への書き込みなど、具体例が多々例示してあり、初心者もベテランもわかりやすく参考になります。
紙芝居は、演じ方ひとつで全く違うものになります。この本の演じ方ポイントに気をつけて演じてみると、聞き手の子どもたちの反応ががらりと変わります。ぜひ、試してみてください!
手作り紙芝居に取り組む園・学校やグループが増えています。
ただ、絵本とは異なる紙芝居の方法論を押さえておかないと、良い作品が出来ません。
紙芝居の世界の第一人者である、堀尾青史さんと久保雅勇さんが、脚本と絵の基本的考え方をわかりやすく解説。これら読むと、市販の紙芝居の良しあしを見抜く目も養われるでしょう。
紙芝居は日本発祥。そもそもそれがほとんど知られていない。アジアの国々を中心に、紙芝居が各国で人気なのも知られていない。残念です。
紙芝居の歴史を知り(戦時中軍部の宣伝に使われた歴史も)、絵本とは違う紙芝居独特の表現方法や、子どもの成長に与える影響とその根拠を知ることは、日本を知ることに繋がると思います。
紙芝居が街頭紙芝居、飴などを売るための子ども寄せとして誕生したことを忘れ、街頭紙芝居を排除しようとする人もいるようですが、本末転倒です。本書の理論編を読むと、21世紀の紙芝居の新しい可能性に思いを馳せます。ぜひ、保育者・幼稚園教諭・小学校や特別支援学校の先生方に、本書の理論編を読んでいただきたいですね。」