「良い子の皆さん」
♪こちらは○○区です。△時になりました。良い子の皆さんは、車に気をつけて、早くお家に帰りましょう♪
夕方決まった時間になると、この放送が聞こえる(夏と冬で流れる時間が違う)。
でも、どうやら真夜中にうろつく「良い子」がいるらしい。
それに気づいたのは、うちの奥さんだった。
ある真夜中のことです。眠りは深くない方ですが、その日は珍しく熟睡していました。
すると、夢とも幻ともつかぬどこかから笑い声が聞こえてくるのです。
なにか、地獄の底から聞こえてくるような、笑い声が・・・。
「あははははは!あはははは! おかしい〜!」
「聞こえてくるんは、夢の中ちゃう。地獄の底でもない。すぐ近くや!」
だんだん頭が回ってくると、夢の中ではなく、奥さんが笑っていることに気づいた。
真夜中に、真っ暗な中で、1人で笑う奥さんを見るのは、中々スリルがある。
一気に目が覚める。
恐る恐る聞いてみる。
「どないしたん?」
「今、何時?」
「え〜っと・・・、まだ4時かな?・・・」
「『良い子』がうろついてるらしい」
「はぁ?」
全然意味が分からん。ますます背筋に寒いものが走ります・・・。
「良い子?」
「そう。『良い子の皆さんは、早く、お家に帰りましょう!』やって〜! あはははは」
そこで初めて、いつもの区の放送だと気づいた。
「今、放送があったん?」
「そう! こんな真夜中にうろついている『良い子』がおるかっちゅうねん!良い子やったらうろついてないし、良い子でなかったら放送があったくらいでお家に帰るかいな〜」
「そらそや。これは矛盾ですなぁ」
コンピューターで放送を流すんはええけど、時々こんなとんでもないことが起きますな。
この件から半年後くらいに、ついに私も聞きました! 真夜中に流れる、この名調子を。
♪こちらは○○区です。△時になりました。良い子の皆さんは、車に気をつけて、早くお家に帰りましょう♪
まだまだ起きる時間ちゃうねん。せっかく気持ちよう寝てるんや、どうか良い子の皆さん、早う家に帰ったってや〜! おっちゃん、寝不足になってまうがなぁ〜。
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